5.第1話【日照り雨】 狐の嫁入りはモロにスモークだね。狐の動きがユーモラスで小気味よい。虹の輝く花畑は鮮やかな情景で、言い伝えを通して自然の大切さを説く。
2話【桃畑】 桃源郷(自然)の喪失感と再生への訴え。
3話【雪あらし】 雪女は厳しさとやさしさ(包容力)を併せ持つ自然の二面性を表現。
2話と3話は舌足らずの印象。
4話【トンネル】 戦争の不条理を描く。犬は死者の魂を象徴し、その魂への鎮魂を込めたもの。
5話【鴉】 豊饒の麦畑、ひまわりや太陽の黄色は強烈な印象。絵画の中に溶け込んだ姿はNHK・Eテレの子供向け番組みたいで変な感じ。ゴッホの世界を駆け回る喜びとともに、彼と通じる創作の苦悩を感じる。
6話【赤富士】 スリーマイルやチェルノブイリ事故を踏まえた問題意識と東海地震への懸念を表したもの。原発に対する危機感を自分も共有する。
7話【鬼哭】 6話からのつながりで、文明の行き着く果てがどうなるか警句を発す。共感するが説明調のセリフが多い。
8話【水車のある村】 自然あっての人間というメッセージ。日本の農村の原風景を見る思いだが、小川沿いのキショウブはミスマッチ。ゴッホ好みの黄色?にしても在来種と競合するほどの繁殖力をもつ帰化植物は合わない。
よく生きよく働いて死ぬという人生観、そして青森ねぶたを連想させる踊りは人生讃歌であり、葬送の音楽は心に残る。
6話から8話までは現代社会への問題提起で、科学万能に対する懐疑を示したもの。共鳴する部分もあるが老人の遺言めいて説教臭が強い。
少年・青年・中年・老人の流れで一貫しているのは、人間と自然の共生を詠い、その大切さを訴えるものだった。