2.《ネタバレ》 ラストシーンにて
「主人公は後に、米国で最も尊敬されるジャーナリストの一人となった」
というテロップが表示される訳ですが
「いや、そこ(偉大なジャーナリストになるまでの具体的な経緯)を映画で描いてよ!」
とツッコんでしまいましたね。
映画の中で主に語られるのは、彼がジャーナリズムに目覚めたキッカケ、後に結婚する事となる女性シュノーとの出会いくらいなので、伝記映画として考えた場合「起承転結」の「起」の部分で終わってしまったかのような印象なのです。
飲んだくれの若者であっても、勇気を出して行動すれば偉大な人になれるというメッセージ性が込められているのかなとも思いましたが、この映画で主人公が最後に行うのは「鼻持ちならない金持ちの船を盗んでやる事」だったりするもので、そんな道徳的な意図があるとも考えられず、何とも判断に困る一品。
主演のジョニー・デップが、仲の良かったジャーナリストに対する敬意や親愛の情を映画という形にして伝えてみせた……という作品なのかも知れませんね。
だとしたら、第三者の観客である自分には分からない魅力が色々と籠められているのだろうな、と推測します。
主人公が喉の渇きに耐えかねて、金魚鉢の水を飲み干す姿は可笑しかったし、舞台となるプエルトリコの風景も美しい。
クライマックスにて語られる「真実の匂いは、インクの匂い」という言葉も、胸に響くものがありました。
それらの(あぁ、良いなぁ……)と思える部分もあっただけに、あの終り方が、実にもどかしかったです。
「惜しまれる内が華」「もっと続きが観たいと思っている時に終わる映画こそ名作」という考え方もあるかも知れませんが、本作に関しては、ちょっとばかり観たい「続き」の量が多過ぎるようにも感じられました。