5.《ネタバレ》 題名からすると真面目な映画にはとても思えないが、既成キャラクターをネタにした悪ふざけに終わるわけでもなく、それなりにまともな邦画ホラーになっている。ストーリー自体が旧2作のハイブリッドだが、この2系列を最終的に統合するため白石監督オリジナルの「カルト」(2013)の要素を加えており、全体としては既存のホラー映画3つを組み合わせた形に見える。今回登場のハイパー霊能者は「カルト」の登場人物そのままでもよかったのではと思うが、そうすると真面目なホラーに見えないのでまずかったのかも知れない。
最後のぶった切り方は唐突かも知れないが、「カルト」からの連想でいえばこれも予想の範囲内とはいえる(どうせこんな感じだろうとは思った)。それにしてもこういう終わり方とすれば本体部分がよほど面白くないと困るわけだが、その本体部分が他からの借り物で独自性が感じられないことが自分としては不満足につながった。ちなみに問題のビデオがあまり凝った作りでなかったのは残念である。
ところで、この映画で両者の混合物ができてしまったのは個人的に喜ぶような話ではないが、VHSの衰退によって消滅の危機にさらされていた貞子が勢いを盛り返すためには、やはり今回のようなデジタルメディア化が必要だろうとはいえる。
ただ、これは伽椰子に関しても同じだが、これまでは呪われる条件を極めて限定的にしていたことで、その条件に合致してしまえば絶対逃げられない、という過酷さが成り立ち得ていた面がある。この映画のように野放図に動画が流れてしまうと人類が滅ぶとは言わないまでも、世間の反響が大きすぎてかえって拡散が妨げられる事態に至るのではないか。細く長く続けることが大事だろうと思うが、別に続編など期待しているわけではない。
[2019/2/2追記] 伽椰子編の主人公役は玉城ティナという人だが、どうもあまり可愛く見えるところがない。少なくとも「呪怨」シリーズは出演女優を魅力的に見せるというのが特徴の一つだったはずだが、この映画がその伝統を受け継いでいるように見えないのも不満足感につながっている。貞子編の方も、主演の山本美月という人はともかく佐津川愛美さんなどひどい顔ばかりである(本人がこれでよければ構わないが)。