3.《ネタバレ》 うーん、「ポストマンブルース」で感動したので、これにも期待したけど、一作だけで少し監督を過大評価し過ぎたかも。
「平凡なサラリーマンが、ふとしたきっかけからトンデモない事態に巻き込まれていく」という基本設定は「ポストマン~」に似ているものの、そこから「複数の人間ドラマ」と「テンポの良さ」を除いてしまったような内容。
前半の軽いノリが、後半に行くに従ってシリアスな様相を呈していく演出の仕方も相変わらずだが、今回の「酒に酔った勢いで人を銃殺していく」という設定にちょっと感情移入が出来ない。メイン登場人物も主人公ひとりだけだし、記憶喪失の謎も、単に酒の飲み過ぎだったというだけでは、さすがに無理がある。
思い出される記憶も、葬式のシーンでの「ペースメーカーの解体」とか、喫茶店での自己中な恋人との「ダラダラした会話」とか、ストーリー展開とほとんど関係の無いシーンばかりで、わざわざ時間稼ぎをしている意味が分からない。ギャグとして見ても笑えないし、おまけにテンポも悪いため、何度も早送りをしてしまった。観客の立場に立った脚本作りが出来ていないように思う。
ラストまでの展開も「ポストマン」に比べ、スピード感や盛り上がりが無く、一端、大団円で終わるかと見せかけて、またそれを覆して血生臭くしたり、夢オチみたいなオチにする必然性にも欠けている。
色々な要素をごちゃ混ぜにするという演出法はインパクトを出しやすい反面、やり過ぎると作品として何が言いたいのか分からなくなるし、観客が置いてきぼりになるので、要注意ですよ、監督さん。