2.《ネタバレ》 起・承・転・結というのがお話の中にあるとして、まずとにかく起・承のパートは(平坦で)長すぎる。そしてその上に転・結の方のインパクトが弱すぎる。なかなか内容・シナリオ自体のみにでも観る価値を見出せる、という作品にはなっていないかと。
原作未読ですが、そっちの方は小説・文章としての表現技法・構成の工夫等でこのお話を「読ませる」のに成功していた、というコトなのでしょーかね。映画でそれを「再現」するなら、雰囲気づくりや演技のつくり込みをこだわってゆくしかない(かなり「生活感」というものの溢れる作品なので、画的な美しさ・芸術性で勝負しよう、という感じでもないと思うのですよね)かと思いますが、その雰囲気や演技というのも全体的に決して悪くはないのですが、前述のお話としての弱々しさを十分にカバーできている、というレベルでもないと思います。それでも演技なんかは、よく見るとキャストがかなり豪華なのもあって随所で相当にレベル高かったとも思いますケドね(國村隼とか特に)。
もう一つ、というか一つだけ褒めておくならば、綾野剛よりは松田龍平ですかね。彼のキャラクターそのもの、でもあるかと思いますが、善人なのか悪人なのか何とも得体の知れない(一種不気味な)感じというのはそれなりに独特で面白かったですし、その部分に関しては作品に求められている(=キャラクターを成立させる)クオリティにまで達していた、と感じています。