1.《ネタバレ》 とある事件がきっかけで地方の保安官へと左遷された、かつての優秀な殺人課刑事ディーコン。正義感に燃えていたあのころの情熱などもはや涸れはて、今やその日を平穏にやり過ごすことだけを目的に生きていた。そんなある日、彼は上司からロサンゼルスまでの出張を頼まれる。すぐに終わる簡単な仕事のはずだった。だが、彼はそこで最近起こっている凶悪な連続殺人事件を捜査する若手刑事バクスターに声を掛けられる。懸命に捜査するものの犯人逮捕の糸口すら見出せないバクスターは、経験豊富な彼の意見を聞きたいというのだ。当初はしぶしぶ協力していたディーコンだったが、事件の概要を知るうちに過去に彼が追っていた未解決殺人事件との繋がりが明らかとなり……。若い女をさらっては拷問の末に殺害するという猟奇的な連続殺人事件の犯人を巡って、それぞれに追い詰められてゆく捜査員たちの苦悩を描いたサスペンススリラー。ベテラン俳優デンゼル・ワシントンと『ボヘミアン・ラプソディー』での熱演が記憶に新しいラミ・マレック、そして様々な作品で名バイプレイヤーとして活躍するジャレッド・レト。この三人のオスカー俳優が豪華共演ということで今回鑑賞してみました。しかも監督は、実話を基にしたお話で幾つもの佳品を手掛けてきたジョン・リー・ハンコック。これはもう観ないわけにはいきますまい。結果は……、ちょっと期待が高すぎたのか、正直イマイチな出来でしたね、これ。この監督らしからぬ、全体的な演出がちょっと雑な印象を受けてしまいました。まず、肝心の連続殺人事件の全体像が何とも掴みにくい。犯人が何処で誰を捕まえ、そしてどのように殺したのかが最後まで観てもよく分からない。なので犯人を懸命に追う主人公たちにいまいち感情移入できないんですよね。さらにはデンゼル・ワシントン演じる主人公の地方に左遷されるきっかけになった過去の出来事も最後までよく分からないまま終わっちゃいました。殺人事件の真相もすべて明らかにされず、心にモヤモヤしたものが残るという爽快感ゼロなラストも肩透かし感が半端ないですし。この重苦しいダークな世界観は凄く良かっただけに、この細部の演出の詰めの甘さが何とも残念。この監督ってやはり、実話を基にした映画じゃないとその実力を発揮できないんじゃないでしょうか。