2.評価が高かったので借りて見たのですが、正直言って期待はずれでした。平和、平和と叫んでいれば平和が実現できるような幼稚な考え方を基準とすれば戦争はいつでも起きうるというリアリスト的な考え方は確かに説得力があるとは思いますが、それで全てではない。柘植みたいな考え方の何が問題で、どうすればいいのかというところが示されていない。後藤や南雲の方も、自分たちの住んでいる町を守るとか、自分の警察官としての使命で止めようとしている以上に何か「思想」があるのでしょうか。結局、東京に住んでいる人そしてしのぶへの「共感」や「同情」で柘植を止めようとしているだけで、彼の「思想」(と呼ぶに値するかは別として)に対して何も反論するようなビジョンを示していない。柘植は自分がやったことを反省しているかというとおそらくそうじゃないでしょう。最初から最後まで確信犯でしょう。彼の心が揺らいだとしたら、それは町への共感、人への共感でしかない。思想的に未熟な日本の現状を如実に表しています。東京で実践がおきたらどうなるかを実写版で迫力満点でシミュレートするだけの映画だったら6点か7点つけられたかも。思想的なものを期待しただけに期待はずれでした。