1.《ネタバレ》 DVD裏面の解説には、「ゴダール映画史上、最難解作品!」と書いてある。
その為、“ゴダールと決別するのに相応しい作品”と心の中に決めていた。
この作品を観てとことんゴダールを嫌いになり、きっぱりさっぱりゴダールを忘れてやろう!という寸法だ。
そうは言っても、かなりの数のゴダール作品を観てきた私である。
難解な晩年のゴダール映画には慣れてきたつもりだ。
「どんだけ難解なんだろう」と、逆に期待をしながら、いざDVDの再生ボタンを押したのだった・・・
さて始まった。
いつもの“晩年のゴダール作品調”全開だった。
具体的には、
・唐突に挿入される画面いっぱいの文字(黒地に白い文字)。
・いきなり流れるクラシックなBGM。
・登場人物とは無関係に挿入される、気色の悪い音声(ガラガラ声)。
・やたらに綺麗な森の風景。
・海の風景。
・意味なく乱暴な動きや振る舞いをする登場人物。
・いきなり裸になる女性達。
・哲学的な言葉のむやみな引用。
などなどだ。
(ただし、今回は「鳥の鳴き声」みたいなのは無かった。)
しかし本作には、今までとは明らかに“違う”ことがあった。
それは、“あまりの難解さ”加減だ。
いやいや、これはいよいよ全くもって訳が分からんぞ。
さすがに焦ったね。
その他の晩年のゴダール作品は、難解な部分やセリフ回しがあっても、全体の中の一部分でしかなかった。
それがこの作品においては、全てがそんな感じなのである。
よくもまあ、こんだけ訳の分からんシーンを84分も“数珠つなぎ”にできたもんだ。
呆れるを通りこして、感心するばかりである。
ただし、この作品、ただ難解なだけではない。
とにかく映像が美しいのだ。
他のゴダール作品と比べても、圧倒的に素晴らしい。
ゴダール作品の中で“最も美しい作品”だと私は感じた。
映画レビューサイトでも誰かが書いていたが、「字幕なし」で観たら最高だろう。
まあ、かと言って、それを実践するほどの魅力を感じた訳ではないが。
さて、かくして私は、この作品にて“ゴダールとの決別”を果たしましたとさ。
だって、84分という短い尺なのに、観るのに「映画3本分のエネルギー」を使ったからね。
もういいよ、ゴダールは。
さようなら、愛すべきゴダール。