2.《ネタバレ》 だいたい、タイトルに“おかしな”がついている映画が可笑しかったためしがない、という経験則は見事に的中でした。スタンリー・クレイマーが大真面目にドタバタ・コメディを撮ったら大惨事になったという感じで、黒澤明がスラプスティック・コメディ映画を撮っても多分同じ様に笑えない超大作になったんでしょうね。要はコメディはこの監督の守備範囲じゃないってことです。 しかしこんなドリフのコントのようなベタなドタバタをシネラマで観客に見せるというのは、ある意味もの凄い快挙ですよ。ジョナサン・ウィンタースが大暴れしてガソリン・スタンドを崩壊させちゃうシークエンスなぞ、やってることはまるっきり『全員集合』なんだけどあれだけ大掛かりだとなんか崇高なものを拝めたような錯覚すら覚えてしまいます。出演しているのはスペンサー・トレーシー以外は曲者コメディアン大集合といった趣ですが、撮影当時の基準からでもちょっとロートルばっかりですよね。現代の感覚からするとトレーシーがお宝を横取りしてニンマリという終わり方でしょうけど、“悪は滅びなければいかん”というのがハリウッドの不文律だった時代ですから、ああいうラストは致しかたないんでしょうね。それにしてもバナナの皮でスッテンころりんとはねぇ、劇中あのおばさんのズロース姿を何度見せられたことか…