8.皆さまご存知、元祖DIYカラテ。
故・岡八郎師匠の「空手もやってるねんぞ~通信教育やけどな~」というギャグと、思想的には近いものがあります。
「そもそも、こんなクソガキがこの程度の練習でトーナメントを勝ち上がれるワケがないだろ~」とツッこむ以前に、「そもそも、エリザベス・シューがラルフ・マッチオなんかに一目ぼれするワケがないだろ~」と言いたくなるワケで、そこに目をつぶることができれば、大抵のことは見逃してしんぜよう、という気持ちにもなってきますが、そういう受け止め方で、いいんですかねえ。ちなみにエリザベス・シューの出演作における相手役は、ラルフ・マッチオ⇒チンパンジー⇒トム・クルーズ⇒マイケル・J・フォックスと、この後、だんだんレベルが上がっていきます。
『ロッキー』のジョン・G・アビルドセン監督が再び取り組んだスポコンものですが、ほとんどスポーツも無ければ根性もない作品に仕上げていて、二番煎じにしていないところはアッパレ。最後は口数が少なくなり少々神がかり的になってしまった一作目のロッキーとは異なり、こちらの作品では「等身大過ぎる」主人公を設定して、最初から最後まで、どうしようもない「のび太君」でいてくれる。いてくれてうれしいかどうかはともかくとして。
で、コブラ会所属のジャイアンに要らぬチョッカイを出して、「ギタギタのメタメタ(©ジャイアン)」にされかかったところを、ドラえもんならぬ(似てるけど)ミヤギさんに救われる。そういや当時、雑誌のインタビューにパット・モリタが「カラテ経験なしで撮影に取り組んだ」とか答えていた記憶があるけれど、実際、見るからにそんな感じの所作ですな。まさに通信教育レベル。だけどそれに目をつぶると(←またか!)、この人、「東洋の神秘」みたいなものはよく出していると思います。日本人の我々が見たって、謎めいてますからね。でも一方で、生身の人間の弱さも感じさせるエピソードが挿入されたりもする(ただ挿入されただけ、という印象もありますが)。
実はジャイアンもそんな悪いヤツじゃなかったり、のび太は基本的にまったく反省しなかったり、ドラえもんはのび太を甘やかし過ぎたり、と、ロッキーから距離をおいた結果、「ドラえもん」にえらく接近した作品になっちゃってて、まあ、そこが、シリーズ化されるほどの人気を博した理由、なのか、どうなのか・・・。