1.《ネタバレ》 昨年鑑賞した『びっくり武士道』の真面目版。といったら、かの作に失礼だが。あ、シリアス版と言えば良いか。
原作を読んでいないので言い辛いが、そもそも「ひとごろし!」と叫んで周りの人間が逃げる、という大元の部分が非常に漫画的というか非現実的なので、シリアスにすると余計にその部分が引っ掛かる。
しかも昴軒さん、ちっとも悪くない。闇討ちしたのは相手側だし、誹謗による周りの人たちの行動が気持ち的に受け入れられないのと相まって、この人に同情の念さえ抱いてしまう。
それと、昴軒が追いつめられているという感じが薄い。腹を切ってしまおうとするほどの困り様には見えないし、それほどの剣豪で「武士」を強調する人が、(髷とは違うらしいが)髻を取られる事に、恥を感じないというのも、ちょっとチグハグな感じがする。まあ、これは時代劇でしか、それを知らない自分が言うのもなんだが。
つまり全体的に言うと、物語の説得力ゼロなのだ。残念ながら、これに関しては、喜劇の世界観でそこんところ上手く丸め込んだ『びっくり武士道』に軍配を上げざるを得ない。