2.《ネタバレ》 シリーズ47作目。カメラマンと(の)人妻の出会いと恋という、当時ブームになった『マディソン郡の橋』(イーストウッドの映画版公開の前だから小説版)からインスパイアされた作品。45作目の『髪結いの亭主』といい、流行りものを寅さん世界に落とし込む作風の一つですね。
ゲストは牧瀬里穂で、お父さんは郵便局長。過去にも『郵便局がスポンサーなんだな』って回はありましたが、今回は大々的でした。この映画の公開当時、牧瀬里穂は郵便局のイメージキャラクターでしたね。当時私は大きい郵便局で、年賀状を仕分ける短期アルバイトをしていました。そして記念品(お年玉?)として牧瀬里穂のテレホンカードを貰いました。同年代で貰ったって人、結構居るんじゃないかなぁ?そして映画の最後の方で、牧瀬演じる菜穂が郵便局の緑の制服を着て出てくるのは、ちょっと嬉しいサービスショットでした。当時を思い出して懐かしくなりましたよ。
今回も満男の恋が描かれますが、“3M”の一角を占めるトップアイドル菜穂とボンヤリした満男では、いくら映画だとしても不釣り合いに感じます。“国民的美少女”の泉とお調子者の満男は、同じ部活という繋がりがあったにせよ、それでもやっぱり不釣り合いで、振り返ると前作の亜矢くらいが、一番バランスが良かったんじゃないでしょうか?
寅がほとんど動けないのと、それでも工夫して撮ろうという配慮が伝わってきます。寅が騒動を起こす場面は、カメラの回ってないところで起きて、人づてに語られる手法です。仕方ないとは言え、スッキリ出来ないのも事実です。
それでも鉛筆売りの勝負は寅さんが満男に教えられる、世の中の生き抜き方って感じで良かったな。
満男以外の主要メンバーの高齢化も目立ち、笑えるところも多いとは言えず、コメディに分類して良いのかとても悩ましいところ。残り一作なのが解っているから付いて行けるけど、リアルタイムには観る側も辛かったと思います。寅さんメンバーの、年に一度の安否確認の意味合いが強い作品でした。