2.前半、サクサクと人が殺されていく過程は面白かったです。さすがは「エルム街の悪夢」出身のレニー・ハーリンだけあって、ショックシーンを見せるタイミングや、無残な死体の描写などにはセンスを感じさせられます。しかし、舞台に残っている人数が少なくなり「次は誰が殺されるのか?」から「誰が犯人なのか?」に焦点が移ると、物語は一気に失速します。仕掛けのための仕掛け、観客を騙すためのドンデン返しが続くため、見ている側は冷めてしまうのです。脚本は観客の先読みを利用する形となっており、物語の中心人物となりそうなキャラクターを早々に退場させたり、観客から疑われるであろうキャラクターを意図的に作ったりとなかなか手が込んでいるのですが、そのためにストーリーテリング上のテクニックばかりが目立つ格好となっています。そうやって観客を騙すためのテクニックばかりを見せられると、真犯人は誰なのかを考えることがバカバカしくなってきます。設定上の必然性よりも、観客にとっての意外性で犯人が決められているわけですから。実際、クライマックスで判明する真犯人については、動機も手段も腑に落ちないものとなっています。また、ハーリンにはミステリーが向いていないことも作品の弱点を際立出せる形となっています。ショックシーンやアクションシーンは嬉々として演出しているものの、謎解き部分については脚本に書いてあることをそのまま撮っているだけで何の工夫もないのです。さらに、訓練島に独特の雰囲気を作れていないこともマイナスであり、もしサスペンスに慣れた監督が撮っていれば、そこそこの作品になったと思います。