1.《ネタバレ》 ひとりの女性作家の栄枯盛衰の顛末を描いた作品。『ふたりの5つの分かれ路』で好きになったオゾン監督作の時代モノはこれが初鑑賞。ロモーラ・ガライの陶器を思わせる肌は時代モノのヒロインにはうってつけだった。しかし反して内容は決して満足できるものではなく、残念。もとの原作がそうなのかとも思うけれど、感情の起伏と思い込みの激しいヒロイン・エンジェルに共感できる部分は少なく、ラストに向けて幸せが崩れてゆく様を描いたストーリーは見ていて心地のよいものではなかった。自らを特別である、とか、オリジナルである、と思う心は誰しもどこかに秘めていると思う。しかし、周りが見えなくなる程に自分の世界に浸りきりになり、溺れてしまうと幸せは逃げてゆく―――という、教訓のような映画。それ以上でもそれ以下でもなかった。