1.《ネタバレ》 延々と流れる、客層的に明らかにミスなスプラッターB級アクション映画やお色気アクション映画の予告編を静かに見守り、ガマンにガマンを重ねて本編が始まって子猫が画面いっぱいに登場した瞬間、場内がどよめきと溜息となんとも言えない声に満たされて、超満員な場内の空気が1つになっておりました。そして、だからこそ。ダメな映画。みんな、子猫を見に来てるのに、子猫、全編で上映時間の10%も登場してないです。ヘタすると5%程度。しかも登場シーンは全て暗い画面。そりゃ、子猫を強いライティングで撮ったら虐待以外の何物でもありませんが、自然光でちゃんと撮れるでしょうに、設定的に夜間と暗い室内のみという。そして、じゃあ映画は何を描いているのかというと、リストラに精出す人事部長と、その冷徹な人柄に反発する新入社員の、二週間の新人研修の物語。子猫は部長の人柄を象徴的に示すため、そして新人研修と子猫を育てる初心者としての部長の姿を重ねるためのエッセンスに過ぎないという。また、その物語が最初から最後までモヤモヤするばかりでちっとも面白くないのですわ。映画館でお金払って見るレベルじゃない、って。極端なハナシ、この映画を見に来てる人の多くはドラマなんかなくて、ただ子猫とその子猫の魅力に囚われちゃう人(あー、判る判る!って共感部分ね)が映ってるだけの映画で満足しちゃうような状態だと思うんですよ。なのにネコちょっと、笑いもちょっと、軸になるのはハッキリとしたカタチを成そうとしない、溜めるばかりでちっとも解放されてゆかないドラマ。真面目に撮ろうとしてるけれど、見当外れなのでちっとも結実していないみたいな。作ってる側が、観客が何を見たがってるのかが全然見えてないって、不幸だわ。そうそう、「ヒラマヤン」のその後がほったらかしになってしまいますが、そういうとこをちゃんとフォローできてないあたり、ネコ好きな人以外が作ったんだなぁ、って。ネットで調べたら実はパンフにその後が書かれてたようですが(つまんない映画のパンフは買いませんわ)、本編で語れないでどうすんの?