5.《ネタバレ》 ダメ人間が開き直って頑張る。その発想自体は好きだし、面白いと思う。
実際、最初の90分を我慢すれば、最後の20分はちょっとだけ楽しいかもしれないです。
でもね、この映画自体は結構マニアックなのではないかと思うのです。見る人を選ぶのではないでしょうか。
決してオーソドックスなサクセスストーリーではありません。いや、そもそもサクセスストーリーではないのか。
佐和子が開き直ってからが見ものだと思うのですが、その開き直り方がいかんせん弱い。
『もっと主張しろよ』といらいらさせる主人公。ダメ人間の健一。主人公以外も無気力と変人の集まり。
そんな負のオーラにつつまれた人々を散々見せられてフラストレーションがたまりまくったところで、待ってましたといわんばかりの佐和子の開き直り演説。いやいや。あの中身すっかすかの演説はなに。あんなんじゃ全然スッキリしないんですよ。
歌を作るのだって、てっきりスーパーとかで流すやつかと思ったのです。で、それがヒットして、蜆が飛ぶように売れて・・・。みたいな。でも実際は職場で社員が歌う歌。あとは蜆の値段とパックがちょっと変わっただけ。で、売り上げがなぜか倍増。意味がわからないんです。あれだけ『人生はままならない。でも頑張るしかない』って主張しておきながら、この安直なストーリー展開。『ちょっと気持ちが変われば誰でも成功するよー。』みたいに唐突なシフトチェンジ。
そんなんじゃカタルシスを得られないんですよ。頑張るんだったらもっと頑張って、アイデア出して、社員も家族もみんな一丸となってもらわなきゃ。さんざん我慢して見てきたのに、それに対する見返りが少ないのよ。
もっと素直でストレートな娯楽作品に仕上げても、この作品が伝えたいメッセージってのは伝わるのではないでしょうか。
私は終始この映画に出てくる人たちが気持ち悪くて仕方がなかった。特に健一。まじでくそすぎてイライラします。