1.『エクスペンダブルズ』の大ヒットに触発されて製作された、リアリティ完全度外視の80年代風バカアクション。『エクスペンダブルズ』に負けじと集められたキャストは驚くほど豪華だし、火薬満載の見せ場も手抜きなしでなかなか頑張って作られているのですが、如何せん話が面白くありません。まず、遊び気分で戦争ツアーに参加したら思いがけず戦闘の当事者となってしまった大富豪という筋書きである以上、登場する大富豪達は全員戦闘のド素人とすべきだったのに、アフリカの武器商人やヤクザまがいのロシア人富豪といったセミプロをメンバーに加えてしまったがために、肝心の設定が死んでしまっています。さらには、大富豪を主人公とするのであれば豊富な知識や巧みな交渉術といった通常の兵士にはない強みを発揮する局面を準備しておき、それが大きな見せ場となるべきだったのですが、そういった仕掛けも組み込まれていないので話に面白みがありません。そもそもこれは異文化交流ものなのだから、確執と和解がドラマの基礎となるべきだったのですが、そういった要素がまったく深彫りされていません。基本設定がここまで置き去りにされた脚本も珍しいものだと呆れてしまいました。。。
そういったメインプロットの貧弱さの一方で、裏切り者の存在やクレイグとメイソンの因縁の関係といったサブプロットは不思議と充実しています。これが面白ければ映画の救いとなったところなのですが、実際には本筋を盛り上げることにはちっとも貢献していないのでまったくのムダ。サブプロットを脈絡なく付け足していくことで本編のかさ増しをするのではなく、肝心のメインプロットをどう面白くするのかという点に力を注いでいただきたいところでした。。。
キャスティングについては概ね悪くないのですが、クリスチャン・スレイターだけはミスキャストでした。体はよく作ってきているし、銃やナイフの扱いも様になっているのですが、多くの戦場を経験してきたプロの傭兵にはどうやっても見えないという点が致命的でした。まだまだ若々しさの残るスレイターのような俳優ではなく、ショーン・ビーンのような渋い中年が演じるべき役柄だったと思います。