3.《ネタバレ》 1970年代に流行していたパニック映画の終わりの頃の作品「エアポート'80」は、製作者の原案によるオリジナル脚本がお粗末で、登場人物の紹介のイントロ部分からして、もたもたしている。
人間関係も、安直そのもの。人気女性キャスターと事件の元凶であるロバート・ワグナーが、恋人同士だというのも出来すぎている。
コンコルドの機長役の世紀の二枚目俳優・アラン・ドロンとスチュワーデス役の「エマニエル夫人」で一世を風靡したシルビア・クリステルが、今度のフライトで再会してよりを戻すことになっているが、以前、同棲していた仲なんていうのは、なくてもよさそうに思える。
ソ連の女子体操選手とアメリカの放送記者との4年越しの恋も、当時の世相を反映したのかもしれませんが、おまけの域を出ないと思います。
人気キャスターの家で殺人が行なわれるが、その反応が描かれないのも、考えてみたらおかしい気がします。
同様に、コンコルドがミサイルに狙われ、九死に一生を得てパリに着いたというのに、パリ空港があっけらかんとしているのは、全く腑に落ちません。
そして、悪事の露見を恐れた元凶の男が、自分の開発したミサイルでコンコルドを狙うのではないかと思ったら、案の定、そのとおり。
しかも、ミサイルが前後2回にわたってコンコルドを狙うが、どれも失敗。
ミサイルがこんなに命中率が悪いとは、もうほとんどご愛嬌としか言えません。
正義の味方のはずの女性キャスターは、恋人の悪事を知りながらも逡巡、まさに恋は盲目なのです。
そして、一難去ってまた一難。
パリ空港で整備員が、コンコルドによからぬ細工をする一件も、安易すぎると思います。
あんな飛行機に乗った乗客こそ大災難。パニック状態の機内描写で、女性キャスターが、置いてけぼりなのもどうかと思います。
脚本そのものが良くないので、デヴィッド・ローウェル・リッチ監督も演出の腕の振るいどころがなかったのかもしれません。
つくづく、映画は脚本が良くないと、いい映画、面白い映画ができないなということを、この映画を観て痛感しました。