11.《ネタバレ》 ジーナ版と比べるのはフェアではないとわかってはいるが。これは。
初めのうちこそ、愛人顔のシャロンをジーナのような組織の重鎮クラスに置かず、ボスの使い捨て情婦役にしたのは的確だと思ったのだけど。
オリジナルと比べるとどこもかしこも細部まで劣る。冒頭、一家惨殺に及ぶ組織の恐怖感は十分の一ほどに減り、全編にわたって敵役が怖くない。不必要なグロリアの姉の登場、ハンパにオリジナルを真似た子役の性格設定。グロリアと子供の心の交流描写の繊細さなど、どこにも無い。その象徴たる墓地、ここは家族の還る場所としてオリジナルではすごく大事なキープレイスだったのに。まるっとカットか。まあそれはいい。でも代わりに持ってきたのが教会か。神父に相談てグロリアあんた極道のプライドはどうした。
何よりシャロンの大根ぶりは目を覆う。子供と絡ませたのは大失敗だ。イライラしてるか慈母めいた声を出すかのどっちかしかないの。「いいお母さんやってます」というベタすぎる芝居にはホントかよ、と思わず声が出た。
ラストシーンはバカンスにでも出かけるようなお気楽さだ。家族の死を乗り越えて再生する場面だろう。これでいいのかね。
シャロンはタイトルに“グロリア”と冠することのできる玉ではない。“ザ・エスケープ~逃げのびろ!この子は絶対に渡さない”とでもしとけば良かったんですよ。