2.《ネタバレ》 TVシリーズ【仮面の忍者 赤影:1967~1968年】を成功させた監督・倉田準二さんと、脚本家の伊上勝さんのコンビによる【恐竜・怪鳥の伝説:1977年】の再見に対し、複雑な気持ちになったため、今さらながら、その埋め合わせのために観ました。
私も、長年、知識としては「①東映がTV進出を念頭に、漫画・ワタリを映画化。②そのままTVシリーズにしようとしたら、原作者の白土三平氏が映画の作風に激怒したために頓挫。③代わりの原作者として横山光輝氏を招き、TV化したのが赤影だった」と把握していました。その意味で、↓の【伊達邦彦さん】がおっしゃる通り、【赤影のパイロットフィルム】と考え、今回、初観賞しました。レンタル店でDVDを取り寄せてもらって観ましたが、さて、結果は…
確かに、“青影”を演じた名子役・金子吉延さんや、“白影のおじさん”を演じた牧冬吉さんが出演しており、かつ、特撮だけに着目すれば【赤影】を想起させる場面がたくさんありました。しかし「掟の秘密を知った者は始末する」というように登場人物達の命が次々と奪われていくストーリー展開は、断じて【赤影】ではないと思いました。かと言って、それなら【白土三平ワールド】を表現しているかというと…表面的にはシリアスなストーリーであっても、雰囲気は、当時の明朗快活な東映時代劇の作風が漂っており、中途半端さは否めないようにも思いました。
私にとって白土三平氏の作品の映像化と言えば、TVアニメシリーズの【サスケ:1968~1969年】と【カムイ外伝:1969年】です。仮に、これらのTVアニメが先に世に出ていれば、ワタリが東映で映画化されることは無かったのでは…と思われます。一応、【少年忍者 風のフジ丸:1964~1965年】というTVアニメシリーズを東映は手掛けているようですが、この時点から白土三平氏は、原作者として名ばかりの扱いだったようで…。
さて、採点ですが…上述の【恐竜・怪鳥の…】に4点を献上した私としては【恐竜・怪鳥の…】に比べれば、まだいいかな~とは思う一方、他のお二人のレビュアーさん達がおっしゃる通り、白土三平氏が激怒するのも無理は無いと思うので、プラス1点どまりの5点とさせていただきます。
そして、結局は、【恐竜・怪鳥の伝説】の再見に対する気持ちを埋め合わせるという、本来の観賞目的は達成されず、満たされない思いは【怪竜大決戦:1966年】の再見へと続くのでした…