6.《ネタバレ》 ペキンパー作品の第1鑑賞にこの作品を選んでしまったからか、
実に暗いシリアスな映画でした・・
こちらは題どおり戦争映画です。
同じ暗いバイオレンス映画ならば背景が明確なジャンルにしたかったなぁ。
憎しみの背景が戦争や差別なら共感できなくてもわかるものってあるのですが、
これは非暴力主義者のD・ホフマンなのです。
見ていていらいらするくらいの平和主義なのです。
このことなかれ主義なホフマンが「パニックルーム」と化した後半、
我慢の限界がブチ切れ報復してゆくのですが・・
陶酔さえ浮かべるエンディングに後味はよくはありません。
でもやつらはやっつけたじゃあないか!
という問題でもないというのがこの映画の言いたいことなんですが、
最初は報復もアクションが派手で面白かったのですが、
ちょっと長すぎる気がしないでもありません。
「二十日鼠と人間」のように1発でケリをつけて後味の悪さに考え込む映画もあります。
ここまでアクション過多にするともうほとんど戦争です。
わが家が戦場と化した疑似体験をし帰る場所をなくしてしまったのです。
普通のひとが本能に目覚めるさまは「ファイトクラブ」のほうがわかりやすい。
「時計じかけのオレンジ」も同じです。
ひとはどこまでひとになれるのか、「タクシードライバー」にも似ています。
田舎が舞台で真面目すぎる主人公が迫害を受けるということで、
「アラバマ物語」にも似ていますが・・(私はわらの犬のほうがいい)
ねちねちと進んでゆくホフマン夫婦迫害の手は、
最期で一気に爆発して報復して後味の悪さが味わえる・・
と思って観ていたのですがなんかあっさりしちゃった。
どうして「天国と地獄」のような後味の悪さがなかったのか。
まああそこまで後味が悪い映画ではなかったことが救い(天国と地獄は最高ですが)
ここまでやるかぁ~というバイオレンス過多は、
タランティーノの描写が軽く思えるような重さはありました。
後半はパニックホラーが終わったあとみたいな感じで・・
少し傾いた構図、スローモーション、止まるくらいゆっくりしたフラッシュバック、
スピード感あるアクション・・とまあ、私的にはデ・パルマやジョン・ウーに近いと思う。