3.みなさん評価が高いのですが、私には鑑賞後にあまり心に残るものはありませんでした。たしかに鑑賞中には感激していたのですが・・・。第二次世界大戦の映画が多く作られ、第一次世界大戦は何か歴史のかなたに忘れられようとしているような感じがぬぐえませんでした。第一次世界大戦は人類史上初めて、飛行機や戦車などを駆使した大規模な世界戦争だったのにその観点が抜けていて、だからどうだという視点が抜け落ちているからかもしれません。この点はデカプリオ主演の「アビエーター」の冒頭の主人公の執着(人類初の空中戦の映画化)のほうが如実に第一次世界大戦を語っています。どうのこうの言ってもクリスマス停戦はこの先第一次世界大戦の終結するまで(1918年、第一次大戦中の最後のクリスマスは1917年)そして、クリスマス停戦自体は第二次世界大戦中もあっただろうけれど、停戦中に敵味方でサッカーをするなんていうのはおそらくこれが最初で最後だったことがストーリーから明白で、「初めての世界大戦で兵士たちもうぶだったのね。」という感想しかありませんでした。そして、一番決定的だったのは敵味方双方がキリスト教徒だということ・・・。全面戦争が局地戦闘にスケールダウンされている感じがしました。現在世界で起きている戦争ではユダヤ教対イスラム原理主義だったり、戦争の理由はいろいろでも敵味方の宗教が違うということが多いのです。以上のような理由で、本作品は第一次世界大戦を描いたあまり多いとは言えない映画の中でも無名の兵士に焦点を当てた「西部戦線異状なし」やスーパースターを中心に据えて現在にも連なる異文化圏アラブの心を描こうとした「アラビアのロレンス」に及ばないのです。