3.ある殺陣師が言うには、リアルな功夫を映画で表現すると地味な技も入ってしまい見世物として面白くないのだそうです。
ですから殺陣師は映画用にアレンジした新しい武術や出来るだけ派手な技を加えたりと工夫に工夫を重ね、テンポ良く振付ける必要があるのです。
ですから、リアル指向の功夫を再現しようとした本作はどうしても技に見劣りが生じてしまっています。
演舞シーンは達人たちの体捌きや身体能力の凄みを実感できて、圧巻ではありますが、いざ格闘シーンになると、どうしようもなくテンポ・間の悪さが目立つアクションばかり。終盤の胡堅強VS計春華なんか冗長極まりなく、歯がゆくて見ていられない。
結局の所、正真正銘の功夫が見世物としてどれだけつまらないかを実感できるだけの映画です。
…とは云え登場人物のキャラクターは大好きですし、中国本土という広大なロケ地を感じさせる空間性はそれらの稚拙さを忘れさせるほどの効果を挙げていたと思います。
何はともあれ、映画的演出を一切欠いた本物の功夫を見たい!という方はどうぞ。
まあ私は見世物用にアレンジされた功夫映画の方が何倍も面白いと思います。