3.危険な山岳地帯でロケしてます、ってのはよくわかるんですけれども、それにしては、その危険さをしっかり画面で見せつけてくれないのが残念。もしかして、編集の際に、ワンショットは何秒まで、とかいうルールでも設けてたんですかね。じっくり見たいショットもそうでないショットも、やたらと切り替わってしまって。高所を捉えた迫力あるシーンがある一方で、人物なり事物なりのクローズアップもあり、それ自体はいいんですけど、本作は後者がちょっと多すぎるようにも思えます。「いかにも危険そうなシーン」は、じっくり見せてくれさえすればコチラで勝手にハラハラしようものを、すぐにショットを切り替えてしまう。残念ながら、周囲の光景がアングルに収められていないアップのシーンが多いと(それはつまり、周囲が映るとマズい場所で撮ってるんでしょ、という勘繰りにも繋がりかねない)、いまひとつ危険さや過酷さが伝わってこないもんです。
もちろんあの、凍傷の痛々しさ、というのは、これはクローズアップならではの表現であり、アップが不要というつもりはないのですが、そこでまさかのジャンプカット演出。いやいやいや。ここは「もたつくこと」の表現、その持続した時間こそが、サスペンスになるべきなのでは。
登攀シーンですら、このように細切れなもんで、屋内の会話シーンなんて、カメラがどこを見て何を撮りたいのか、何だかよくわからない。
音楽も、不必要に大仰で、まるで映像に合っていない部分が多々。一方で、登攀シーンでは映像に合わせようというのか、音楽にハーケンの音が取り入れられているのですが、音楽のつもりなのか効果音のつもりなのか、見てて戸惑ってしまい、逆効果。気を削いでしまいます。
いろいろと、もったいない部分の多い映画でした。