2.《ネタバレ》 まず驚いたのが、ここでのレビューの少なさ。公開から9ヶ月経ち、レンタル屋にもズラリと並んでいるにもかかわらず。このレビューの少なさが世間の「答え」なのだろうか…。さて感想だが…惜しい。非常に残念な作品だ。もうちょっとの所で感動に繋がるはずが、味気なく終わってしまう。視聴後に感動ではなく寂しさのみが残る。寂しさの正体は「何も解決していない事」への寂しさだ。主人公明日菜が現世での人との繋がりを大切にすべきと気付いて終わるのなら、かしましく話し掛け続けてくれたクラスメートの少女と肩を並べて終わっていくくらいの演出は欲しかった。さてその明日菜だが、目的意識がはっきりしないので、見てるこちらは主人公の活躍を期待出来ず、目的に向かう一生懸命さに胸打たれる事もない。常に男と一緒にいるので一方的に助けられてばかり。巻き込まれ型のキャラならもっと戸惑って欲しいが、あっさり異世界に飛ばされた事を容認してしまっているかのような落ち着きっぷり。先生のキャラ付けももっと明確にすべきだった。「死んだ妻に会いたいだけの悪人」なのか「死んだ妻に会いたいだけの可哀想な人」なのか。どちらかを際立たせるだけでも深みが出たはずだ。こうしたキャラと主人公の対比をはっきりさせる事で、主人公の魅力は増す。獅子奮迅の活躍をする少年シンですら、その生き様が見えてこない。これまでの生活を犠牲にしてまでも主人公の少女を救いたいと願う理由は何なのか。それが恋心なのか正義感なのか、兄への義理立てなのか。それを美しく描く事で作品はより輝きを増していくはずだ。新海誠という料理長の残念な所は、素晴らしい食材・調味料・厨房・人材を揃えながら最後の煮込みが甘く、深みを感じない固く平坦な料理に仕上げてしまう所だ。食後のデザートたるEDの歌はすごく良かっただけに、さらに残念な感じ。絵的な完成度は良かったので5点。