5.「麒麟も老いては駑馬に劣る」という言葉があるが、ルイマルも老いちゃったんだね。
育ちのいい品とセンスの良さを併せ持った、好きな監督さんなんだが、もはや「プリティベイビー」とか「ルシアンの青春」のような鮮烈な映画作りからは離れてしまって、なにかゴタゴタと無理してる感が強い。
女優のせいなのか、男優のせいなのか、そもそも一目ぼれする気持ちが、説得力がない。無理やり一目ぼれという筋を追っているだけ。
それに目をつぶって一目ぼれ話に乗るとしても、安物のテレビドラマじゃあるまいに、女が兄との近親相姦話をぺらぺらしゃべって説明。これで、複雑な家庭の悲しい女です、と思わせようとする安直なつくりはいただけない。
それに、いったんは妻も息子も捨てる決意をして女に向った利己的な男が、息子が死ぬと女をほっといて息子に駆け寄るというのも?と思う。それが息子の死によって現実に引き戻された結果というなら、その後また女を探して訪ねて行くのも腑に落ちない。どっちに話を持っていきたいのかと思う。
また、息子の死と情事が明らかになったら、後は離婚→家族解体は分かり切っているのに、なぜわざわざ奥さんが旦那をなじって嘆く、紋切り型の芝居を長々と見せる必要があるのだろう? 蛇足もいいとこ。
一番、無理があったのは、ギッタンバッタンとアクロバットのような不自然な二人のセックスシーン。しらける。