1.《ネタバレ》 真面目に見るとどう考えても主張はおかしいし、フェイクドキュメンタリーとして見ると途中までは面白いが後半以降の落とし所があまり盛り上がらないし細部の詰めが悪すぎる。トピックスは悪くないが、作者が真面目ならトンデモだし、遊びならもう少しきちんと「遊んで」ほしいところ。結局どっちなのかよく分からない。
■真面目に言えば、おかしな点は山のようにある。
●「メキシコ、エジプト、中国で遺跡が一直線」と言っていたが、球面上の三点を通るように直線(円)は必ず取れる。
●円周率と黄金比がたくさん出てくると言っていたが、一つ値を定めてしまえば、残りの「綺麗な関係式」はすべて数学的な恒等変形だけで得られるので、関係はただ一つしか存在しない。
●そして、黄金比は代数的数だが円周率は超越数なので、円周率に何か計算を施すと黄金比が出てくるかのように言っていたが、あれはあくまでも近似の産物である(そして恐らく、黄金比の方が意図的に作られ、円周率は数学上の偶発的近似値だと思われる)。
●メートル法を先取りと言いつつ、出てくる量が無次元量(どんな単位を用いても同じ結果が得られる)だったりする
●そして、仮に地球の大きさを正確にはかれても、それをいくつで割るかという任意性は残るので、メートルと同じ単位系が得られることはない
●黄道十二星座との関係性が語られていたが、そもそも星座はメソポタミア起源(エジプトより後)なのでそれに合わせようがない。
●地磁気反転は数週間どころか数百年~数千年かかると言われている。
■だから「カメレオンマン」のようなフェイクドキュメンタリーとしてのんびり見ていたのだが、それにしては妙に陰謀論めいて既存研究をやたら攻撃するし、出てくる結論が「地球規模の環境変動への警告」って、いかにも微妙。うーん。