2.《ネタバレ》 ゲイリー・オールドマン。
悪役俳優としても有名。
でも本人は「悪役ばっかりはイヤ!」と、悪役オファーを断るようになったものの、自身が製作・脚本・監督を担った渾身の「ニル・バイ・マウス」を作ったものの大コケしてしまった後は、その借金を返すためにその後連続3作(フィフス・エレメント、エアフォース・ワン、 ロスト・イン・スペース)で悪役を演じる辛酸をなめた。
だが彼も年齢を重ね「悪役は絶対イヤ!」とゴネることもなく、来るもの拒まず・・・というスタンスなのか、悪役もぼちぼちこなしている様子。
そんな近年の悪役作品が「パワーゲーム」だ。
しかし、年齢を重ねたゲイリーの悪役は、渋みと重厚な雰囲気のみで、若かりし頃に見せたあのエキセントリックでサイコちっくな悪役の彼はそこにはいない。
FBIに逮捕され、パトカーに押し込まれる彼のラストシーンは、若かりし頃に見せたあのインパクトの大きな退場シーンと比べてなんと印象の薄いことか。
私は間違いなくゲイリーには、若い頃の作品で見せたような”爆弾の束で爆死”、”パラシュートに首をからませて落下死”とか”流砂に吸い込まれてフェイドアウト”といった、まぶたに焼き付いて離れない強烈なラストシーンを求めていたのだろうと思う。
・・・といいつつも、「パワー・ゲーム」においては”権力を牛耳る悪いオジイサンたち”として、かつて「エアフォースワン」で敵対しあったゲイリーとハリソンの戦い第2ラウンド!ということで、「今回の勝敗はいかに!?」という視点で楽しむことはできた。
(結果は引き分け)
「権力やカネよりも、”家族”、”友情”、”恋人”が大事ダヨネ!」
というもっとも至極なことを、大御所俳優を駆使して大作仕上げになっているし、実際のところ面白く見ることはできた。
ただ、イケメン主人公が会社をクビになった仲間同士と、どこからカネをひねりだしたのか高層ビルの一室に事務所を設立して、
カノジョともヨリを戻してビルのエントランスでイチャイチャチュッチュなんていう
「ボクにはハッピーエンドな未来しかありません♪」
…的な終わり方はちょっと都合が良すぎるのではという不愉快さ。
せめてあのイケメン主人公が、下町のさびれたスーパーでエプロン姿でうなだれながらレジ打ちをしているところにカノジョが現われ「まずはお客と店員からはじめましょうか」くらいの、明るい未来を暗示する程度の場面で終わってほしかったところである。