1.《ネタバレ》 暗黒街の顔役として史上最も恐れられたギャングスター、アル・カポネ。だが、その晩年は長かった刑務所生活と梅毒による記憶障害、そして肉体的な衰えとで非常に寂しいものだった。本作は、そんな彼の知られざる最晩年を描いたもの。かつて残虐非道なギャングたちのボスとして恐れらたもの、今や下の世話も自分でできずおしめが手放せなくなるほど衰えた彼を演じるのは、人気俳優トム・ハーディ。という訳で今回鑑賞してみたのですが、正直微妙な出来でしたね、これ。ストーリーなんてほとんどあってなきが如し、ただひたすらボケ老人の妄想に付き合わされただけの二時間弱でした。こういうのって普通、全盛期のかっこいい主人公の姿を回想シーンで描くなりすれば、より衰えた現在の悲哀が浮き彫りになるものだけど、予算の都合か本作はずっと落ちぶれてしまった主人公の今を描くのみ。それもことあるごとに漏らしちゃったり、妄想から暴言を吐きまくったりでまったくもって不愉快というしかありません。クライマックスで主人公がいきなりマシンガンをぶっ放すのもやはり妄想で、「結局だからなんやねん!」と思わず突っ込んじゃいましたわ。ありきたりの伝記映画にはしたくなかったのか知れませんが、どうにも退屈と言わざるを得ない内容でありました。悪夢のような妄想シーンに若干センスを感じたのと、トム・ハーディの熱演に+1点。