1.《ネタバレ》 タランティーノの『ヘイトフル・エイト』の元ネタというのがトリビアですが、正直言って似ても似つかないストーリーです。共通点は雪が降り積もった山岳地帯が舞台ということぐらいでしょうか。『ヘイトフル・エイト』が密室劇だったのに対してこっちは基本山岳地帯を9人が彷徨い歩く野外劇というのも大違い。逆に言うと、この映画からあの『ヘイトフル・エイト』のストーリーを考えつくタランティーノは、ほんと天才ですね。 そもそもこの映画は、主演(一応)のロバート・ハンダ―はマカロニ・ウェスタン男優ですけど、キャストもスタッフもみなスペイン人のスパニッシュ・ウェスタンなんです。なので作品の雰囲気やそのゴア描写は、マカロニ残酷描写の上を行くスパニッシュ・ジャーロそのものです。ストーリー展開にも安定性がなくて、てっきり主役だと思ったロバート・ハンダ―が半分も話が進まないところで退場しちゃうので、この先どういう映画になるのか不安にさせられます。そして、回想シーンに出てくる若干名を除いて、本編に登場するキャラたちが端役を含めて一人残らず死んじゃうところがこの映画の容赦ないところです。 シーンが変わると雪が積もってないなどけっこういい加減な造りの映画ですけど、妙なタイミングで挿入されるストップ・モーションやフラッシュ・バックなどが禍々しくて変な味があることは確かです。はっきり言ってタラがいなけりゃ歴史の中に埋もれて忘れられるような作品ですが、ヒロイン役のエマ・コーエン(『華麗なる対決』や『ニコライとアレクサンドラ』にも出演している)が思ったより魅力的だったのでプラス一点を献上いたします。