6.《ネタバレ》 シリーズ13作目。出だしがすっごく面白かったです。旅先で既に寅が恋をしていて、いよいよ成就するか?ってところから始まる新たなパターン。まるでリーサル・ウェポン2のよう。
絹代の振り方も、『主人が帰ってきた!』って屈託なく言うもんだから、今回も寅の一方的な思い込みだったようで…
歌子再登場。ってか、吉永小百合再利用。愛知県のどこかに住んでるハズの歌子が津和野で暮らしていて、偶然再開するなんて、なかなか強引な設定。しかもあのブサ…陶芸家のご主人は結婚1年目で亡くなってる。実生活でも前年にあたる'73年に電撃結婚した吉永小百合。
これは悪く読み取れば、サユリストの「小百合様に旦那はいらん!」って願望じゃなかろうか?映画は夢を観るところ。ならば映画の中だけでも永遠に独身でいてほしい。そんな願望に応えようとしての、本作だったり?
本作は柴又慕情の後日談の意味合いが強く、歌子の父親だけでなく、女子旅仲間のみどりとマリも出てくるのが嬉しい。更に「はい!バター!」のギャグも再登場と、続きもの感が強くて良い。ただね、この歌子がどうにも、何をしたいのかイマイチわからない。前作ではOLだったらしいけど、陶芸家の嫁としてその道に行ったかと思えば、夫の実家で図書館で働き、姑の家を出ても実家には戻らず、今度は看護・介護系の仕事に就こうとする。歌子は何がしたいのか?嫌なものから逃げてブラブラしてるようにも思えてしまう。
夫の葬儀にも出ない父。歌子がとらやに来たと聞いて、とらやに顔を出す父。あぁ、お父さんが考えていた以上に、歌子は全然子供だったんだ。自立した女としてでなく、一人娘、子供として接しなみゃいけなかったんだ。修吉はそう思って、とらやに来たんじゃないかな?そう思わせる展開でした。
最後、絹代のところに顔を出した寅がいい。あの流れだったら絶対歌子だろうって期待を裏切る好展開。未練たらしく独り身の歌子を追うのでなく、フラレた自分を見つめ直す寅が良い。