18.《ネタバレ》 終わってみれば、主人公一家の四人は全員生存しているのだから「安心して観賞出来るファミリー映画」とも言えそうな本作。
ただ、自分としては冒頭から登場する霊能者のデニスに感情移入していた為、彼が死亡する展開だったのが残念でしたね。
その後に幽霊として助言してくれるし、主人公を庇っての自己犠牲である以上「オイシイ役どころ」とも言えそうなのですが、その辺りの流れも少々唐突。
「こうすれば、ずっと嫌いだった自分を好きになれる」との事なので、動機は理解出来るのですが
(せっかく魅力的なキャラクターだったのに、こんな風に殺すのは勿体無いなぁ……)
と、感動するよりも惜しむ気持ちが強かったです。
主人公一家には幼い男の子もいるし、年頃の女の子もいるし、彼らと交流を持たせるなり何なりして、自己犠牲の動機に「この家族を好きになったので、守ってあげたい」という要素を濃くしてくれていたら、もっと好みだったかもしれません。
翻って、主人公一家はといえば、良くも悪くも王道、無難な造形ですね。
強烈に心惹かれるものはありませんでしたが、ちゃんと善人揃いなので「生き残って欲しい」と素直に応援出来る感じ。
物語としては子供達に「人質」以外の役どころが殆ど与えられていない事、黒人家政婦が場を和ませるアクセント止まりな事は不満に感じましたが、あくまでも主人公である父親中心のストーリーなのだから、致し方無いところでしょうか。
母親の霊が、残された家族に「愛してる」と告げてから消えるラストに関しても、綺麗に纏まっていて良かったと思います。
「前後」に両断される弁護士の殺され方など、この手の映画に必要な残酷なギミックが、きちんと描かれていた辺りも好感触でしたね。
何というか「残酷さ」のバランスが程好い感じで、うわぁ……とドン引きしてしまう程でもないし、全くドキドキしない訳でもないという、巧みなバランス。
掛けると幽霊が見えるようになる眼鏡など、魅惑的なアイテムが登場して、ワクワクさせてくれる辺りも良かったです。
「後半の展開が好みから外れている」という点を差し引いても、それなりの満足感を得る事が出来た、安定度の高い一品でした。