6.《ネタバレ》 シリーズ30作目。オープニングは子供の頃ザ・ベストテンなんかで観たジュリーのショータイム。アメリカンな衣装を着たとらやのみんなが、なんかシュール。
いつもひっそり、とらやの背景を演じてきたお向かいさん・江戸家さん。挨拶以上の絡みを観せたのも、親父さん登場も、今回初かな?そんな江戸家さんから、ついにマドンナ登場!しかも派手派手な朝丘雪路って力の入りよう。この一瞬で花咲いて一瞬で終わる恋を入れたのは、この先寅さんが完全に恋の脇役に徹するからだろうか?
『シートベルト着用運動参加車』なんて書いてるけどシートベルトしない三郎青年。まぁ、友人に借りた車だしね。今回、大分県がスポンサーなのかな?温泉街、お寺、神社、グライダー、サファリパーク、ホーバークラフトと、いつもより観光色が強く、そこに割く時間も長め。
二枚目だけど恋に不器用な三郎青年。寅が青年に恋のアドバイスする回は過去にもあったけど、どうにも上手くいく気配がないのも珍しい。デートでもチンパンジーのベベの話しかしない三郎との時間に退屈してしまう螢子。寅とだったらいつまでも一緒に入られるのに。って素直な気持ちが辛い。
観覧車デート。あぁやっぱりここでもチンパンジーの話か…って、退屈そうな螢子がいい味出してる。
「子供のように思ってたベベが、螢子さんに出会ってからもう、ただの動物でしか無い」ここで求婚に飛ぶけど、螢子の中できっと『三郎さんのチンパンジーへの思いは、私の寅さんへの思いと一緒なんだ』って思ったんじゃないかな。三郎が好きだと言ったら説教した寅と、三郎に好きな女がいるのを感じて引っ掻いたベベ。居心地の良かった相手と、好きで結婚する相手の違い。だから螢子も一歩踏み出す決心ができて、結婚を受け入れたんだろうなぁ。
寅にしてみれば、三郎は最後フられて終わるところ。だって自分がずっとそうだったから。でも三郎が上手く行ったのは、自分と違って二枚目だから。って、寅の中の結論がまた痛々しい。ここのところ4作続けて寅の心を抉るような、可哀想な結末だなぁ。