2.《ネタバレ》 本作の主人公、女性を助けたり、悪い奴にだまされたりして、映画としては善人に描こうとしているようなのですが、どうも完全に善人とも思えない。被害者的な役回りなのですが、あまり共感できないというか、主人公として少々弱いような気がします。こういう人物なら、もっとタフさがほしいのですが、ジュリアーノ・ジェンマのように甘いマスクではそこは期待できません。ジェンマには合っていないのでは。彼を助ける医者と保安官のコンビは面白かった。
あと本作で興味深かったのは、有力者に煽られて町の人間が主人公をリンチにかけようとするところ。これ、現代では「炎上」という呼び名で、ネット上でしばしば見かけます。この場合、有力者に煽られているわけではありませんが。要するに正義を行使したい、正義の側にいると思いたいという自己満足から、悪と思うものを集団で攻撃する。人間というものは昔から変わらないのだということを感じさせました。