4.《ネタバレ》 「死ぬまでにしたい10のこと」男性バージョン。しかもゲイだ。
治療を拒否するところ、体に悪いことばっかしてみるところ、誰にも打ち明けないところ。
ロマンは祖母だけには告白するけどね。ここが男の弱さとでもいうのかしら。
思うに「映画」だからなのだろうか、「10のこと」にしても、この作品にしても、ガンに侵された人を描くにキレイすぎる。
時折思い出したようにゲロを吐いてみたりする。が、普段は勝手にいろんなところにお出かけしたりしている。
こんなものではない。身内をガンで失った人はご存知だろうが、ガンは体を破壊してゆくのだから。美しかった肉体も、あんまり美しくなかった肉体も、平等に壊してゆくのだから。
2作品とも、徹底的に「病院」を拒否するあたり、どう解釈していいのか。「若いのだから闘って欲しい」というしごくもっともな医師の言葉を無視する彼ら。若くなくても「闘っている」他の患者をバカにしているようにも見える。
べつに人に迷惑をかけるわけでもないので、好きにしてもらっていいけれど、「ガン」にかかった人をあんまり美しく描くのはやめてもらいたい。病気とは、(とくにガンの場合は)壊れていくことであり、醜く汚く苦しいのがあたりまえ。「そんな醜いことは、ぼくの美意識が許さないんだな」とか言ってロマンくんはこんなことしてるわけだけど。フツーの人は、望みが5%でも3%でも「家族のためにも」治療を受けて死んでいく。そしてまた、治療を施す医師のほうだって、職業とはいえ他人のために「面倒くさい」ことを責任もってやってくれるのだ。「治療は結構です」と言ってくれれば何もしなくてすんでこんなにラクなことはないのに、やっかいごとを抱え込んでくれるのだ。「手をつくした」かどうかということのみが、家族の「納得」の有無につながるのだ。私とて、父が最後まで手厚い治療を受けたと思えるからこそ、誰のことも恨む気にならない。医療は家族をこの境地まで連れてくるために存在する。
「どうせ効かないから無駄。」とかいっているロマンくんには、理解できないだろう。
「またラストは砂浜かよ」オゾンくんは「みなさん、さようなら」に触発されたのか知らないが、今回はあまり感心しない。テデスキさんをまた出してくるあたりも、あんまりお気に入りの役者ばっかり使ってると「舞台」くさい気がしてくる。ジャンヌ・モローは迫力勝ち。