3.《ネタバレ》 『ヒッチャー』の脚本家と駆け出し時代のキャサリン・ビグローがタッグを組んでいます。“ブルースチール”といえばハンドガン(拳銃)の異名であるのは言うまでもありませんが、同時にこの物語ではブルーを基調としたNY市警の制服を暗示しているわけです。タイトなまでの映像美は後年のビグローの片鱗をのぞかせていますが、どうにも脚本の出来がよろしくありません。『ヒッチャー』のルトガー・ハウアーをNYのヤッピーに置き換えたつもりだったと推察いたしますが、ヤッピーの正体がバレバレでバブルな証券マンがだんだん狂ってきて連続射殺魔になるわけで、そこになんらオカルト的な要素はありません。これでは得体の知れなかったルトガー・ハウアーの不気味さの足元にも及びません。そしてヒロインが新人警官という設定もあまり生かされているとは言えず、ジェイミー・リー・カーティスの行動も中盤以降はベテランの貫禄すら感じさせて、これでは“女ダーティ・ハリー”です。終盤の街中での銃撃戦に至る流れも、なんでロン・シルバーがカーティスを見つけることができたのかということからして、なんか脚本が雑なんだなあ。この犯人はスピリチュアルな存在じゃなくて頭がおかしいだけの生身の人間だってことを忘れるな、って脚本家に説教したくなりました(笑)。 現代のNYの最大の脅威はテロリズムですけど、30年前では悪徳弁護士と無能な警察幹部だったということなんでしょうね、きっと。