3.《ネタバレ》 とにかく、空襲シーンは圧巻、それを描いただけで充分価値がある映画。
また、その悲惨さを、爆弾を落とす側のイギリス人の爆撃機パイロットの目を通して描いたのも秀逸。
ただ、無理やり恋愛映画にする必要があったのか?かえって興がそがれた気がした。
60年も昔の、ドイツの上流階級の婚約者を持つ娘が、その日初めてであったイギリス人と……ってのは、あまりに現代風(もっと悪く言えば携帯小説風w)で、物語全体のリアリティを傷つけてると思う。
それから、この悲惨な出来事をまるで、民族同士の誤解、対立が招いた自然災害みたいに描くのはどうよ?
まず戦争を引き起こしたのはドイツであり、この映画では全く無辜の被害者のように描かれてるドイツ人達が、当時世界で最も民主的な憲法であるワイマール憲法のもとで、熱狂的に支持し政権の座につけたナチス・ヒトラーであること。
全然そういう内省が見られないのは……
それから爆撃する側も、あくまで軍事的な目標を対象にしての爆撃であったように描かれてるのは大嘘で、実はどれだけ多くの一般市民を殺傷するか入念に計画されて実施された明確な国際法違反の無差別爆撃であること。
こういった視点抜きにしては、この事件を本当の意味で考察することはできないと思われ。