2.《ネタバレ》 とにかく序盤の展開が早い早い。
登場人物の説明を手早く済ませ、バイカー集団との対決に至るまでをスピーディーに描き、痛快に突っ走ってくれます。
これは隠れた傑作ではないかとの期待が一気に膨らんで……その後、同じくらいの速度で萎んでしまった気がしますね。
如何せん、籠城戦に移行してからの展開が、非常にかったるいのです。
元々演出が冴えているとか、画作りにセンスがあるとか、そういう訳ではなく、ひたすら早く物語を展開させて、観客に余計な事を考えさせる暇を与えないからこそ、序盤は退屈せずに観賞出来たと思うのですよね。
その唯一にして最大の利点である「速度」が失われた後は、どうにもパッとしない。
終盤、じゃがいもバズーカが登場する辺りからは持ち直した感がありましたが、それでも中弛みの印象は拭い切れなかったように思えます。
敵となるバイカー集団が「悪魔の追跡」を連想させたり、じゃがいもバズーカ大活躍の件は「トレマーズ3」を連想させたりと、この監督さんとは映画の好みが合いそうだなぁ……と感じる場面もあっただけに、全面的に楽しめなかったのが残念でしたね。
言葉が通じないスペイン人のオジサンに、アーチェリーが得意なオタク気質の女性など、主人公以外にも個性的な面子が揃っているし、そんな中では地味な印象だった「子供想いのママさん」が、何としても生き延びて我が子と再会する為、止むを得ず人殺しを行う場面なども、良かったと思います。
最後は、お約束のハッピーエンドで〆てくれる辺りも、安心感がありましたね。
人物設定やストーリーなどは好みなのですが、個々の場面が今一つ洗練されておらず、退屈さを覚える時間も長かった為、胸を張って傑作とは言えない事がもどかしくなる……そんな一品でありました。