2.《ネタバレ》 1999年11月29日、アメリカの大都市シアトルではWTO(世界貿易機関)による定期会合の開催を明日に控え緊張していた。弱者を切り捨て利益のみを追求する資本主義社会の暴走を食い止めるため大規模なデモを実行しようと世界中から市民活動家たちが集まっていたからだ。警官隊は混乱を最小限に押さえ込むために綿密な計画を立てて不測の事態に臨んでいた。夜があけ、不穏な空気が徐々に街を支配していくなか、情熱的な活動家のリーダーや職務に忠実な警察官、偶然暴動に巻き込まれた妊娠5ヶ月の彼の妻、中立の立場で事実を伝えようとする女性ジャーナリスト、将来のための実績作りに余念がない市長など、様々な立場からそんな拡大するグローバリゼーションの現実を見つめたアクション色の強い群像劇。冒頭から、あくまで客観的に描かれたそんなシリアスな人間ドラマにけっこう期待して鑑賞していたのだけど、中盤辺りから、やたらと反グロ団体(もはや死語?)の主張へとどんどんと肩入れしていく展開に嫌な予感を募らせていたら、とうとう最後はそんな市民活動家たちの単なるプロパガンダ映画となってしまいました。デモ集団のなかに「絶滅寸前の海亀を守れ!」って主張する団体も居たりなんかして胡散臭さ爆発だし(これが鯨ならもはやシーシェパードだねっ笑)。なのに最後は「そして私たちの弱者を救う戦いはこれから先も続いてゆく…」というヤな感じのメッセージを残して終わっちゃいました。べつにそんなメッセージを主張したい監督の意欲は大いにけっこうなのだけど、あまりにも活動家の人たちを美化しすぎていませんか、これ。妊婦を襲って流産させたのも実は警官でしたって設定もあざと過ぎます。もっと活動家側の闇もきちんと描かなければ、フェアではないと思います。21世紀に入っても、相変わらず繰り返されるサブプライムローンやリーマンショックなどという現実とその度に催される無力なデモ活動のことを思えば、なんとも薄っぺらい作品と言わざるをえません。豪華な俳優陣はなかなか見応えがありましたけどね。