2.《ネタバレ》 1982年、カナダ人初のエベレスト登頂を描いた作品。
標高などの情報は出るものの、日付や今いる場所がエベレストのどこなのか明示されないので、登山の行程の全体像が見えない。サウスコルやヒラリーステップくらい誰でも知ってるだろうと高をくくっているのだろうか。ふざけたり、いがみあったりする場面が目立つ。全体として緊張感に欠け、国の期待を担い、命がけで登山に挑戦しているように見えないのだ。実際、その時点でエベレスト登頂は珍しいものでなくなっている。カナダ人初という意外、記録的価値は少ないのだ。標高7000m辺りで素手で金属の梯子を掴んだり、笑いながら走る場面があり、首を傾げた。人物像の性格付けが通り一遍でしかないので、感動が無く、自然に対する畏怖や恐怖も伝わってこなかった。足元の氷が陥没する場面の特撮はよく出来ていたが、雪崩の場面はお粗末だった。ローリーは負傷して町に降り、医者から肋骨を三本骨折しているので登山は無理といわれるが、登山訓練中に死んだ親友の恋人に登山を懇願される。それでローリーは隊長の命令を無視して強行登山するのだが、これは展開が無茶すぎる。それに、すぐにアタック隊に合流してしまうのだから、安直すぎる。もう少し現実味のある劇にしてほしい。それやこれらが理由で、彼らが登山に成功しても感動はない。それに、四人もの死者を出したのだから、成功といえないのではないだろうか。この映画はドラマを編集したものだ。編集に問題があるのだと思う。