1.《ネタバレ》 原作は、個々の裁判の面白いエピソードや、トロさんの視点の面白さを読ませるものだったと思うが、この映画版は、一つの裁判に対しての、傍聴マニアたちの積極的な関わり方を描いている。
最初、こういう関わり方は、どうなのだろう?と思った。傍聴人は裁判自体に口を出せないし、出してはいけないんだと思っていたから、裁判の外で裁判に影響を及ぼそうとする行為を、とても不快に思った。でも、よく良く考えてみると、彼らのやっていることは、まさしく被告に対するサポートで、違法性はない。これが一般の国民の権利なのだと考え直した。まあ、それでもネクタイの色や、オーバーなアクションで説得力を出したり、母親の健気な姿を見せて心証を稼ぐなんてのはどうかと思ったし、そういう事に左右されちゃう事がホントにあるんだとすると、日本の法曹界もてんで未熟だと思わざるをえないが。確かに原作では、そういう裁判官や検事・弁護士の人間っぽいところが、オモシロのネタになってはいるけどね。
物語は最後にどんでん返しで、笑い話にしてしまっているが、なんだか、ワハハと笑ってしまう気になれないおはなしだった。