6.《ネタバレ》 二重の魅力を秘めた作品だと思います。
武侠物としても、恋愛物としても楽しめる側面を備えている。
でも、自分の場合は上記の要素どちらに比重を置いて観賞して良いのか分からず、今一つ集中する事が出来ませんでしたね。
「ウォン・カーウァイ監督? なら格闘シーンはオマケ扱いで、恋愛模様がメインなんだろなぁ……」
「おぉっ、思った以上にアクションのクオリティ高い! 甘く見てた自分が馬鹿だった!」
「これ完全に武侠映画だなぁ、やっぱ映画に先入観を持つのは禁物だわ」
「あれ? このラスボス(と思われた人物)あっさり負けちゃったけど、どう話の決着付けるの?」
「……って、結局は恋愛映画かよ!」
と、こんな感じで混乱してしまった次第。
途中から終盤にかけては、トニー・レオン演じる葉問よりも、チャン・ツィイー演じる宮若梅の方が主軸に据えられているように感じましたね。
それでいて最初と最後をキチッと葉問で〆るのは生真面目な作りでしたが、それゆえに葉問が全然目立たない場面の長さも際立ってしまい、少々軸がブレているようにも思えました。
冒頭の雨中の格闘シーンを筆頭として、アクションは格好良く描かれていましたし、監督の得意分野とも言うべき恋愛描写の部分も良かったです。
不器用な自分としては、さながら左右から腕を引っ張られているかのような居心地の悪さを覚えてしまいましたが、器用な人であれば、その両方をしっかり楽しんで、満足出来そう。
そんな器用さを備えた人が羨ましくなる、ちょっと手の届きそうにない位置に咲いている花のような映画でした。