1.《ネタバレ》 小惑星の地球への衝突が防ぎきれないものとなり、地球滅亡まで残り3週間となった時、いったいどんな事が起こるのか。こういったシチュエーションでは否応なく人間存在の本質が浮かび上がるので、終末ものは好きなジャンルのひとつだ。本作では、迫りくる小惑星の描写もなければ、大統領の演説もなく、あくまで主人公の身の回りに起こる出来事を追っているところに面白さがあった。滅亡が迫っていても「健康」や「道徳」といった価値を失わない人もいれば、全てを捨てて享楽に身を任せる人もいる。終末が迫っているのに、何の疑問もなく来週も来ようとするハウスキーパーや、こんな時に交通違反を取り締まる警官には笑ってしまうが、実際はこんなものなのかもしれないと思わせるのが本作のユニークさだろう。
暴動のシーンはあるものの、全体的にパニック描写は控えめであり、特に後半は本当に滅亡が迫っているのかわからなくなるほど、穏やかなトーンで物語が進んでいく。悲壮感もないが、もちろんハッピーエンドでもない。不思議なラブストーリー。