1.《ネタバレ》 大前提となる「ヒロインのモリーは、誰もが完璧と認めるほどの美女である」って設定に対し(えっ? そうなの?)と思ってしまった事が痛かったですね。
彼女は勿論美人ではあるけど、いくらなんでも作中で絶賛され過ぎで違和感があったし(女友達のパティの方が美人じゃん)と思えたりもして、最後まで映画の世界に没頭出来なかった気がします。
「ホッケーに詳しくて、一緒に観戦して盛り上がれる」「笑顔で家事を手伝ってくれる」などの、内面的な魅力に関する描写は良かったですし、あまり容姿ばかり絶賛するような真似はせず「見た目は美人だし、中身はもっと良い女」的な描き方をしてくれていたら、もう少し自然に思えたかも知れませんね。
主人公の人の良さにモリーが惹かれていく描写も説得力あったし「キャラクターの内面の魅力」の方は確かに感じ取る事が出来ただけに、勿体無かったです。
あと、これは意図的にそうしたんでしょうけど、主人公の家族や元恋人の描写が酷くて、全然救いが無いんですよね。
「主人公の兄は意地悪だけど、なんだかんだで弟想いな一面もある」って描写があるだろうなと思ったのに、兄は最後まで意地悪なまま。
作中で散々「嫌な女」扱いされてるマーニーにも、少しはフォロー入るだろうなと思っていたのに「嫌な女」のまま。
最終的に主人公とヒロインは結ばれるんだけど、その辺の脇役の扱いが酷いせいで、どうもハッピーエンドを祝福する気持ちになれなかったです。
クライマックスとなるはずの「元恋人と家族に啖呵を切って、主人公が飛行機を降りようとする場面」でも、その後に「主人公は飛行機会社からの罰金を恐れて、結局は元の席に戻る」っていう恰好悪過ぎるオチが付くもんだから、これにもガッカリしちゃいましたね。
捻った展開にして笑いを取ろうとしたのかも知れませんが、そこは素直にスカッとさせて、観客にカタルシスを与える展開にして欲しかったです。
「周りから見て釣り合わないカップルのラブコメ」という、中々珍しいテーマの作品でしたし、観ていて退屈はしなかったのですが……
どうも「好きな映画」とは言い難い、作り手との壁を感じてしまうような一品でした。