12.《ネタバレ》 なんとも残念な三流ラブストーリーにしちゃったもんだ。
ラストがいけない。
仮にも「愛」を描くなら、コールドスリープに戻るか否か悩むオーロラにジムが一服盛って、宇宙船でひとり寿命をまっとうするラストにするべきだった。
90年後に彼女が目覚めると、宇宙船いっぱいに森や小動物などの自然が広がっていた…みたいな。
それが本物の愛ってもんだろう。
そしてジムが罪を償うには、その方法しかなかったはずだ。
愛し合う二人がずーっと宇宙船で生きていく…というには浅すぎる描き方。
最初のうちはイチャイチャしてればいいだろうけど、どんだけ愛し合っていようが、そのうち飽きる。
特にオーロラは、ライターで名を上げたいから宇宙船に乗船したほどの上昇志向の持ち主だ。
悪いが、ジムと一緒にいるだけで満足できるのは一年がいいところだろう。
そこら辺をうまく描けないもんだから、「運命の人」とか陳腐な単語を持ち出すとは、ガッカリだ。
後半は、ご都合主義の塊のようなストーリーだった。
まあ最初から設定自体がいかにも男目線のご都合主義だからなぁ。
ブルーカラーの機械工の男が、有名作家の娘の美貌の女を目覚めさせる。
一般社会では出会うことのない、住む階層がまったく違う二人。そこを男は自分の欲望のまま女を選び、目覚めさせる。まったくもって嫌らしい設定だと思う。
いかにもアメリカのマッチョな男向けのストーリーだわ。
こんなんで真実の愛だの言われると、ため息が出ちゃいますね。
現実だったら、オーロラは一人コールドスリープに戻り、ジムはひとり残される。
そして冬眠中のオーロラに毎日会いに行く。
おっさんになり、ヨボヨボの老人になっても毎日若く美しいままの彼女に会いに行く。
そしてひとり、息絶える。
そーゆうラストだったら、真実の愛を描いたラブストーリーだと認められるんだが。
どうだろう。