2.《ネタバレ》 情緒的で儚い物語が好きなので興味がありましたが、評判があまりよくなかったので今までタイミングを逃していました。ある程度覚悟して鑑賞しましたが、やはり皆さんの評判通り残念な感じでした。主演女優トワイライトのベラ(クリステン・スチュワート)、男はウォーボーイズのニュークス(ニコラス・ホルト)なので楽観視していましたが・・ 好意的に考えてもちょっと厳しかったです。
事前にレビューを見てしまったのもいけませんでしたが、、「ロミオとジュリエットの要素もあって・・」という一文から比較的早めに流れが想像できてしまいました。やはり鑑賞前にレビューなんて見るもんじゃないですねぇ。しかし最もいけないのは映画の行間で考える時間がたっぷりあったことです。情緒的で美しい映像=良くいえば雰囲気が良い、悪くいえばダラダラのせいで映像の合間合間に別のことを考えてしまう余裕があります。おかげで今現在目前で進行している映画本編になかなか集中させてくれません。(集中してると眠たくなる始末で・・)
そもそも論、本作のような悲壮感漂う恋愛を表現するなら、やはり彼ら二人がいかに感情を抑圧された子供時代を送ってきたのかしっかり説明すべきでした。そのあたりの説明がないせいで、喜びや愛の感情を爆発させるシーンもイマイチ他人事で響いてきません。ラストは割と綺麗にまとまっていますが、彼らの置かれた状況が特殊すぎて共感できないのはやはり致命的です。本来映画というものはエンドロールで余韻に浸るものですが、本作ではそれすらも許されず部外者的というか、、何となくシラケムードです。情緒的な作品なのにその世界観に浸らせてくれないというのは、やはり映画としては致命的といわざるを得ません。
原題は「Equals(イコールズ)」で、本作デストピア世界のシステムを指す言葉が題名としてチョイスされていますが、物語の内容からは同等とか平等とかのメッセージは感じ取れませんでした。映画の中では「感情」は排除されても「理性」や「理念」は維持されているようでしたから、そういった意味でも「ロスト・エモーション」のほうがずっと合っていたように感じました。
多くの撮影を安藤忠雄が設計した新潟の大学等で行ったことも宣伝されていますが、確かに雰囲気は安藤忠雄的で美しいものでした。しかしこれも指摘されないと日本で撮影したとは理解されないくらいに判り難い感じでした。いろんな意味で惜しい作品。