1.《ネタバレ》 真田広之扮するジャズ・トランぺッターがライブの休憩時間中に殺人事件を目撃した女性を助けたことから事件に巻き込まれていくサスペンス。全篇夜の街が舞台で、ジャズで統一された音楽も相まって雰囲気はかなりいい。しかし、主人公が次のステージまでにクラブに戻らないといけないと設定してるにもかかわらず、そのタイムリミットをうまく話の中に盛り込めていなかったりしてちょっと雑な印象で、サスペンスとしての盛り上げ方も微妙で、逃走劇なのだからもっと緊迫感を出したほうがよかったのではないかと思う。「真昼の決闘」のように実時間と劇中の時間を合わせたかったみたいだが、これも見事に失敗してる。(そうすると休憩時間が一時間以上になることになる。)それに主人公のトランペットの吹き方になんか違和感を感じる。和田誠監督がジャズが好きなことはなんとなく伝わってくるが、そうであれば演奏シーンにももっと説得力を持たせるべきだった。それでもそこまで思ったほどつまらなくはなかったのだが、今まで見た和田監督のほかの作品、「麻雀放浪記」も「快盗ルビイ」もすごく面白かっただけに本作はそれらと比べると数段落ちる出来になってしまっているのは残念で、また本作以降、和田監督が映画監督としての新作を出していないっぽいのもちょっとさびしい。