1.観るのが遅すぎた。
さすがに自分にとって、9.11は遠い記憶だった。
そして、アメリカという国が好きでない私には、不向きな作品だった。
アレハンドロ・ゴンサレス・イニャリトゥの作品が目当てで本作を見たが、そこは流石の出来栄え。
映像のインパクトと、お手前の音楽の使い方なんぞ、ずば抜けている。
後に、この監督がアカデミー賞で注目を浴びたのは必然だと思う。
にしても、この作品、なかなか際どい主張をしている。
それは、9.11という同時多発テロに対して、必ずしも批判的な姿勢を取っていないということ。
勿論、倫理上、テロ行為を肯定するような直接的な表現はされていないが、随所にアメリカの自業自得と言わんばかりの表現が、いくつかあったように思う。
そんな際どい主張を、スレスレの危うさでやってみせた本作は、なかなかの問題作のように思う。