3.《ネタバレ》 黄色い大地、つまりは不毛の大地。
そこで暮らす極貧の人々。
その中でも、一番辛い思いをするのは幼い娘。
ここで描かれている悲劇は、つまるところ、農村部で慣行となっていた“嫁入り”という名の人身売買だ。
貧しい家は14歳という幼い娘を売りに出し、おっさんたちが食いつなぐ。
おっさんのために犠牲となる、幼い女の子。
このクソくだらん浅黒い野郎どもは死んでいいから、未来あるべき女の子を幸せにさせてほしい。
でも、もっとくだらんのは、その貧しい農村を視察にきた役人。
戦争に勝つため、軍人たちの士気を上げるため農村にやってくる。
そこで貧しい農村に伝わる歌を覚え書きし、戦争に役立てるというのだ。
何たるくだらん野郎だ。
救い難い。
貧しい農村に生まれた少女が、唯一希望として見出したものが戦争だった。
これが極めて残酷なオチ。
チェン・カイコーは本作でも、トラウマになるような悲劇を撮ってみせた。
これは凄い。
だけど後味が悪い。
だけどだけど、この後味の悪さがクセになるチェン・カイコー作品。
これからもチェン・カイコー作品は観ていくことになりそうだ。
何の為に?
悲劇を観るために?
悲劇を観てなんになる?
まさにこれこそ悲劇だ。