1.この映画の登場人物って、みんながみんな利己的だな。もちろんセルジョ神父も含めて。それが、宗教を基本としている中で異質な感じがしました。一番そう思ったのが、クリスティーナを見捨てるところ。あのシチュエーションからなら、後でセルジョ自身のフォローがあるもんだと思っていたが、結局上手く活かせず。せっかく打明けてくれたというクリスティーナの優しさや正直さを、神を学んだセルジョが思い悩むような方向性が欲しかった。それにしても、とにかくこの映画は色男のセルジュと女性との関係に終始徹底して注目しているような気がします。宗教色あふれるように見えますが、神の沈黙だとか、神学的な悩みだとかはほとんどナシ。しかも食欲などの欲には惑わされないのに、どうしてか性欲や女にはめっぽう弱いとみえる。そして、普段の生活の中でその弱い性欲に悩む姿が描写されるとすごく面白くなるんだけど、そんな描写はない。純粋なセルジョも、なんだかだんだん純粋じゃないような気もしてくる。彼の中では神に仕えるということも、神を中心に置くのではなく、自らの修行のために神が存在しているような位置付けになていったように思う。それが後半のクリスチャンにあるまじき自殺未遂につながっているのかもしれない。観ていながら「えーっ!」と声を出してしまいました。そんな、セルジョ神父が最後の最後で、神を信じ、ついに悟ることができたっていうのが物語りのオチになっていたのでしょうか?そこのところも曖昧でした。